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食生活をアドバイスする
「牟田実の食育講座4」

 「食育」というと、食事バランスガイドに代表される何をどれだけ食べているかといった栄養素の面で食生活を見直すことと考えがちです。しかし、それだけでは食生活を語ることはできません。
食生活をアドバイスするには、食眼力が必要です。この食眼力とは「ミールソリューション」のことともいえます。
食眼力とは、本質を見抜き、解決策を考えていくことでもあります。つまり「ミールソリューション」のことです。
 この「ミールソリューション」とは、生活者(注1)ひとりひとりが持つ、食事の問題点に解決策を提供していくということです。解決策を提供するためには、まず、問題は何かを見極めることが大切です。
ここで大切なことは、解決策を提供するのであって、「ああしなさい。こうしなさい」と指示することとは違います。どうするかを決めるのはあくまでご本人です。食生活をアドバイスするとは、その解決策の選択肢を提供していくことです。
選択肢を提供するためにはどうしたらいいのでしょうか?

■ものごとを多面的に捉える

 ものごとを多面的にとらえることで、何が今食生活改善に求められているのかをしっかりと把握する必要があります。たとえば、今健康食品として注目されている「大豆」を例にとってみましょう。

 大豆は良質なたんぱく源であり、最近はイソフラボンの働きも注目されています。そして、大豆はしょうゆやみその原料でもあり、私たちの食卓や食文化には欠かせないものでもあります。
ですから「大豆は体に良いのでいっぱい食べましょう」という食生活アドバイスはどうでしょうか?
これは、「大豆」を一面しか捉えていないアドバイスといえます。大豆は食物アレルギーの原因物質でもあり、遺伝子組換え農産物の代表格でもあるという側面もあります。
それこそ、大豆のアレルギーを持つ人に、「大豆は体に良いのでたくさん食べましょう」とアドバイスすることは適切とは言えません。

■相手のバックグランドをしっかり見る

 食生活をアドバイスするためには、まず、相手の背景(バックグランド)をしっかり見ることが大切です。 「食生活」というと、どうしても「何をどれだけ食べているか」ということに目がいきがちです。食べている食品やその量、含まれる栄養素を中心に「食生活」を判断してしまうケースがみられます。
食生活アドバイスを行う場合には、その人の「生活」全体を見ることが必要です。
健康診断で、肥満気味といわれた人に、エネルギー量や脂質を抑えた食事の提案をする前に、どういった生活習慣をしているのかを見ることが求められます。
その人がいつ寝ていつ起きるのか、ストレスを感じているか、もし感じているとすればそれはどこから来てどのように解消しようと努めているか、今の自分がどのように変わりたいと感じているのかといった本人に関することに加ええて、仕事や生活環境などといった外部環境をしっかり見ることが大切です。

■根拠を明確にする

 「食事のバランスや栄養のバランスを考えましょう」「一日30品目はとりましょう」ということをよく言われます。 アドバイスする方もされる方もなんとなくわかったような気がするのですが、実はよくわからないということが多々あります。
 食事や栄養のバランスといっても、このバランスとは、種類をいっているのか量のことなのかが明確ではありません。また、「一日30品目」といっても「29品目ではいけないのか」というような新たな質問も出てきます。これらはいずれも根拠が明確でないからです。
 ある人にとっての「バランス」は他の人にとってのバランスと同じであるとは限りません。
アドバイスにあたっては、アドバイスの内容がより具体的でかつその根拠が明確(evidence based)であるように努めます。

■本人が決めやすいように情報を提供する

 アメリカの心理学者カール・ロジャースは、「来談者中心療法」というカウンセリング手法の中で、「クライアント自身が自らの内的資源を知り、自己理解を深めることを目指す」と語っています。(ガイドブック心理療法 S.パルマー編 日本評論社)  つまり、食生活をアドバイスするには食生活の解決策を本人が見つけるためのお手伝い役であるということです。解決策を提供しますが、相談者自らが自分でその選択肢を考えどうするかを決めることが解決につながります。
 その解決策を提供するためには、食生活アドバイザーはジャンルにとらわれない幅広い知識を持ち、氾濫する情報を適切に選択し、情報をつなげ合わせることで新しい提案ができる力が求められます。

■仮説→検証→修正→検証→仮説のサイクルを常に考える

 食生活アドバイスにおいて重要なことは、必ず検証を行い必要に応じて修正をし、また検証をするということです。 食生活はライフスタイルや世の中の流れによっても大きく変化します。
 たとえば、食品表示を例にとると、食に関する様々な事件や事故をきっかけに、消費者の声を受けて法律が随時改正されています。このような流れをいち早くつかむために、仮説→検証→修正→検証→仮説という流れで行います。
 検証がなければ、ただの言いっぱなしということになります。「今何が問題なのか」、「どこに問題があるのか」、「なぜ問題なのか」という問いかけを常にすることが大切です。

注1:生活者とは、自分の意思で自らの人生や生活を選択し、日常の生活を営む人を指します。

2007.06.04 21:19:21 | きゃりあ塾 | コメント (1) | トラックバック (0)

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この記事へみなさまからのコメント

食生活に限らず、「今何が問題なのか」、「どこに問題があるのか」、「なぜ問題なのか」という問いかけは、必ず自分や周りの人達にとっても、良い方向へ向かっていける考え方のサイクルだと思います。
私自身、日々その繰り返しです。


2007.06.06 23:14:41 | 荘司 美幸



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