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医学部教育にも食生活学を
 東京にある某大学医学部で授業の手伝いをしています。私の仕事は、授業の中で模擬患者という患者役をすることで、その授業で、医学生は医療面談のやり方を勉強したり、症状から病気の特性などを学ぶというものです。

実際に次のような場面が授業の中にありました。さて、皆さんが医師(医学生)であればなんと答えますか?
 医師:「(糖尿病の患者に)やせるためにどのようなことをしていますか?」
 患者:「あるある大事典で、納豆を食べるだけでやせられるとのことでした。
だから、この半月朝晩欠か さず納豆を1パック食べています」
 医師:(これに対して何といいますか?)

 「テレビの番組や雑誌などで『〇〇が体に良い』とか『△△の病気には、××を食べるのが有効』と紹介されると、頭からそれを信じてしまい、実際の医療現場でもドクターの話よりも番組の内容を信じてしまっているということが多々あります」とは担当教授の話です。

 今回の「あるある大事典?」事件などはまさに典型的なものです。番組を見て納豆があっという間に売切れてしまう。
 番組をみて納豆を買いに行くのは、詐欺に引っかかるのと同じようなものだと思います。健康や食生活に多少関心がある人が引っかかる。
 冷静に考えれば、「そんなにうまい話があるのか」と感じるはずです。しかし、疑問に感じても、納豆なら、やせることはできなくても健康的な食品だし好物でもあるので、食べても悪いことはないという心理が働いて買いに走るという行動にでるのではないでしょうか? これは、詐欺の構造と似ています。

 授業で医学生たちに答えを求めてみると皆答えに窮していました。

 次のケースでは、医師が患者に薬を処方したところ、患者が「私はコエンザイムQ10を毎日飲んでいるから大丈夫です。病院の薬は不要です」という答えが返ってきた。さて、それに対して何と答えるか。
 (患者が)「私は栄養士の資格を持っていて、食事はとらなくても一日に必要とされる栄養素はサプリメントでしっかりと摂っています」と言いました。これに対してどう答えるか?

 こういうことについては、医学部の教科書には書いていません。しかし、とても重要なことです。
実は、医食同源といいますが、医学部の授業の中では、薬の処方は勉強しても、食生活の指導ができるための勉強はありません。それは栄養学的なことではなく、食生活全般にかかわることです。食べるということの意味やおいしくいただくという生理的な部分ではない感覚的な部分を学ぶことです。食事をおいしくいただけるということは、免疫力のアップと密接な関係があると思われるのですが・・・

 さて、「朝晩、納豆を1パック食べているから大丈夫です」という患者に医師はなんと答えるべきでしょうか?それに対して、教授からの正解はありませんでした。その理由は、患者一人一人の状態や患者の考え方などが違うために、ケースバイケースとのことでした。無責任なようですが、自分で考えて答えを出せというのが教授の答えでした。教授は「覚えるな」ということを盛んに話されていました。「教科書に書いてあることを覚えるというのは汎用性や融通を著しく狭める。だから考えろ」とのことでした。なるほど・・・

 私たちにも言えることです。「納豆は体に良い」というように覚えるなということです。どう食べるかを考えろということです。

 授業の中では、次のような紹介がありました。ワルファリンという抗血栓作用のある薬を服用している患者が納豆を食べると、薬の効果をなくす可能性があるそうです。
また、大豆はアレルギーの原因物質です。そういったことを患者さんに合わせてアドバイスすべきというのが教授の話でした。予防医学という点でも、しっかりと食生活を語れる医学部教育を期待します。
写真は授業風景です。

jyugyou.jpg
(授業風景)


2007.01.23 07:00:03 | 食彩人 | コメント (0) | トラックバック (0)

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